2018年3月2日金曜日

次に書く本の題名と内容を考えるためのツール

今書いている本が仕上がったら、次に何を書くか、もう頭の中にできていますか?

私は「創作ノート」に書き溜めており、その中から選びます。日常生活で頭に浮かんだアイデアは、まずスマホのGoogle Keepにメモします。歩いている間に思い付き、スマホに向かって口述する場合が多いです。Google音声入力は驚くほど精度が高いですが、それでも誤字脱字は多く句読点もありませんが、気にせずメモしておきます。帰宅したらPCに向かってGoogle Keepのメモを"創作ノート.txt"というテキストファイルにコピペし、誤字脱字などを訂正します。

この創作ノート.txtはGoogle Driveに置いてあり、秀丸で編集します。秀丸はアウトライン機能を設定してあるので、左カラムにメモのタイトルがずらっと表示されます。時々、メモしたアイデアを膨らませて、小説のアウトラインに近づけます。

現段階で創作ノート.txtには50を超えるネタが並んでおり、いざその中から次に書く小説のネタを選ぼうとすると、非常に迷います。50もあると、あれにしようか、これにしようかと悩み、何もないのと大差ありません。 悩んでいるうちに、その時ふと思いついたネタで、プロットも何もなしで第一章から書き始めるということもよくあります。

で、その小説が売れるかどうか?それは別問題です。私の場合、固定読者層があるのである程度の販売数は読めるのですが、面白ければ想定より多く売れるし、面白くなければ想定に届きません。「面白ければ」と簡単に言いましたが、①表紙が目を引く、②販売ページの紹介分が期待を持たせる、③SNSやブログの誘導がよかった、等々、さまざまな要因があります。読んで面白ければ、その本自体というよりは、他の本の販売が伸びたり、次回出版した本に促進効果はありますが、いきなりその本がガンガン売れるというわけにはいかないのが普通です。

ノンフィクション、ハウツー本が売れるかどうかについては本の題名と「何に関する本か」が極めて重要です。今、何の本が売れているか?すなわち現実に需要がある本を出版すれば、その需要の一部を自分のものにできるし、需要が殆どない本をわざわざ書いても売れないのは当然と言えます。

小説も、その時その時において売れているキーワードがあるので、例えば「ロマンス小説を書こう」と思い立ったら、Amazonのロマンス小説のカテゴリーで販売ランキング上位百冊の題名とセールスページを分析し、分析結果によって題名とストーリーを決める。そのようなマーケット・オリエンテッド(市場迎合的)な小説家になれば、「売れる作家」になることができると思います。

Amazon.comのKindleは、まさにそんな戦場になっているようです。アメリカのKDP作家にとってキーワードサーチで次に書く題材を絞り込むのは常識で、その作業抜きで小説を書くのは無鉄砲(鉄砲を持たずに戦場に赴く)という風潮です。

私は英語小説もニッチ分野の題材を集中的に書いているので、「無鉄砲」なやり方がある程度まかり通っていますが、今後はもう少し科学的なアプローチをすべきかなと考えています。

Amazonで販売ランキング上位作品を分析するのは、手動でやると手間がかかりますが、 ツール(ソフトウェア)が各社から発売されています。ネットで調べた結果、Kindle Spyというソフトが良さそうなので購入するつもりです。出版した本の投稿サイトへのサブミッターソフトKDROIと同じメーカーのソフトウェアです。2014に発売されてから改良を重ねているようで、ユーザー基盤の大きい製品のようです。(秀丸みたいなイメージでしょうか。)購入したら、レポート記事を書きたいと思います。Amazon.co.jpのサイトで日本語で使用可能なら非常に価値があるでしょうが、KDROIも日本語はちゃんと拾ってくれなかったので多分無理でしょうね……。

英語小説を活用して日本語小説を書く

前の記事「ビットコイン・仮想通貨に関するハウツー本の書き方」ではPLRライセンス付きの英語書籍を活用して日本語のハウツー本を書く方法についてのアイデアをご紹介しました。

この考え方は小説にも活用できます。正統派アプローチは日本語化したい英語書籍の版権者にコンタクトして日本語への翻訳権と出版権を入手することです。Amazon.comのKindle書籍で販売ランキングが上位にあるものを選んで、著者に直接コンタクトするのが手っ取り早いと思います。相手が有名な作家なら実績の無い無名の翻訳者は相手にしてもらえないでしょうが、そうでなければ案外簡単に権利を手に入れられるはずです。(逆の場合を考えてみて下さい。自分が日本のKDPで出版した小説を、英語訳させてくれとアプローチされたら、歓迎するのではないでしょうか?例えば売り上げの10%でOKするとか……。)

私の場合はYu Sakurazawaのペンネームで英語小説を出版していますので、幸い誰とも交渉せずに自分の英語小説を原作として、日本語訳または日本語版を出版可能です。

英語小説を書き始めたきっかけは「英語でプロットを書き、そのプロットをネイティブ・スピーカーのフリーランサー(ゴーストライター)に渡して小説に仕上げてもらう、その一方自分で日本語の小説を書けば、少ない労力で日本語と英語の小説を出版できる」というコスパ重視の発想でした。

しかし、その通り実行したのは第一作「第三の性への誘惑」「Enchanted into the 3rd Gender」と第二作「性転の秘湯」「A Slippery Slope in a Hotspring」だけで、それ以降は、英語小説と日本語小説は別々に書いています。英語小説の執筆作業はプロットを渡したらそれで終わりではなく、フリーランサーから上がってきた一次原稿にダメ出しをしたり、最終的に文法や表現に手を入れたりと、「編集者」としてフルタイムの仕事になります。それを日本語小説の執筆と並行して実施しようとすると、それ以外の小説を従来のように書く時間がなくなってしまうのです。

複数のフリーランサーを使って、精力的に英語小説の出版を進めた結果、2018年2月末までに68冊の英語書籍をAmazon.comで販売するところまできました。

2月14日に出版した"Abigail Resurrected"は自分でもなかなか気に入った作品で、ふと「日本の読者にも読んで欲しいな」と思い立ちました。そこで、頭の中にまだAbigailが生き生きと動いている間に、英訳を開始しました。

ところが、自分の作品とはいえ英語を日本語に翻訳するのは大変な作業だと改めて実感しました。これでは時間がかかりすぎると思って、英語の原作をプロットとして(膨らませたり削ったりしながら)日本語小説を書くことにしました。(というより、翻訳しているうちに、気がついたらそうなっていた。)

何故原文に忠実な翻訳をしないのか? それは原作者と翻訳者が同一人物(私)であり、私の脳にあるストーリーの流れやイメージを日本の読者に伝えるためには、日本語で組み立て直す方が遥かに短時間で済むからです。

名詞を除くと英単語に一対一で対応する日本語の単語が存在することは、どちらかと言えば稀です。英和辞典を引くとひとつの単語に多くの日本語訳がついていますが、あれは単語に多くの意味があるのではなく、ひとつの日本語では言い表せない意味・語幹・語感を持った英単語なのです。(複数の異なる意味を持つ英単語も沢山ありますので念のため。)

単語レベルでもずれているし、フレーズの段階、センテンスの段階、パラグラフの段階、各々の段階で英語と日本語を対応させるのは至難の業です。Kazuo Ishiguroの名作を日本語に訳すのは、私から見れば翻訳というより芸術だと思います。ほぼセンテンス単位で原作を損なわない最適かつ見事な日本語の文章になっているからです。

結果として、翻訳開始からAmazon.co.jpでの出版まで丁度2週間で8万文字の小説が仕上がりました。英語版出版作業の中で頭の中できちんと揉まれたストーリーであり、それをプロットとすることで、ゼロから書くよりは短期間で完成度の高い小説ができたと思います。

http://amzn.to/2t9gg9B http://amzn.to/2F4FcAU