2018年4月9日月曜日

anone 最終回の感想とanone制作チームへの賛辞

昨夜anone最終回を見ました。半月以上前に録画した放送ですが、パートナーがその日から旅行に出かけてしまい、どうしても一緒に見たくて我慢して見ずにいたのです。

最終回は滅多にないほどのハッピーエンドでした。ハリカ(広瀬すず)は逮捕されて少年鑑別所へ、亜乃音さん(田中裕子)は懲役3年、彦星くんは香澄の家で暮らし、舵(阿部サダヲ)は病死と、普通に列記すると最悪なことばかりなのですが、登場人物の一人一人が負っていた葛藤が考えられるベストに近い形で解決されます。カタルシスのオンパレードという最終回でした。

作家としての私の観点では、インスパイアされることが山盛りのTVドラマでした。登場人物の一人一人に背負いきれないほどの暗い過去を負わせておいて、一見して暗い流れの中で、ハリカと彦星くんとの想像力に富んだメルヘンチックなほどピュアな交流と、亜乃音さんとの間に芽生える家族的な愛情という二つの暖かい流れで、連ドラが組み立てられていました。

TVドラマをちゃんと没頭して見ない人には「こんな暗いドラマは見ていられない」と思われて視聴率が低くなり「朝ドラで高視聴率を叩き出した広瀬アリスと人気が逆転した」などと酷評する記事が氾濫しました。

私としては、anoneは2~3年に一度のレベルの心に残る名作であり、センスが良くて洗練されていたと思います。

「悲劇」とは何かという定義を粉々に砕きました。とても肯定的で前向きな心の変化を表現するのに、悲劇的なエピソードを使う手法は中々真似できないものです。

スマホ・ゲームを使った心の交流が、類を見ない程洗練されていました。私自身、小説の中でPokemon Goを何度か使いましたが、何のひねりも無く単に主人公がPokemon Goをする以上の使い方が出来ていませんでした。anoneは、ゲームとはこう使うんだという手法を見せてくれました。

最終回までに、脚本家(坂元裕二)が意図して涙を狙ったシーンが2回ありました。いずれもハリカと彦星くんの絡みのシーンでしたが、幼少期の記憶以外には、顔も合わせたことのない二人の恋愛シーンで涙を取りに行くのは凄腕としかいいようがありません。ピュアな悲恋の使い方が素晴らしかった。

勿論、anoneの魅力の根幹は、脚本家*演出家が今の広瀬すずの能力と魅力によってドラマを組み立てることに成功したということだと思います。一歩間違えたら悲惨なドタバタ劇になりかねない実験的な冒険をぐいぐい押し通した制作チームに心からの賛辞を送りたいです。

 画像は横顔が広瀬すずに似た別人です。
https://flic.kr/p/5BQbxw CC BY 2.0


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